「日本一楽しいスーパー」
をつくるのは
お客様を想う商売人

  • 精肉部門
  • 2008年 中途入社
  • satake部長代理
  • 後藤 博史

衝撃的だった2009年の「第一回ありがとう総会」

1995年に社会人になり、スーパーやお肉の専門店で働いた。肉のプロフェッショナルとして腕を磨きたい、そんな風に思っていた時にたまたま求人を見かけて入社したのが、佐竹だった。2008年、まだ「日本一楽しいスーパー」というビジョンやありがとうの理念が言語化されていない頃だった。当時の印象は、まだ「個人商店の集まり」。鮮魚は鮮魚、精肉は精肉という距離感があったように思う。青果部門に仕入れのトラックが届いて積荷を下ろす時、「手伝った方がいい」という雰囲気はあるけれど、自部門の仕事が忙しくて、行っていいのかどうか迷う。みんなの中に気持ちはあるけれど、なかなか行動につながらない。そんな雰囲気だった。

2009年、第一回ありがとう総会が開催された。お店を全部閉めて従業員が集まるという、業界の中でも前代未聞のイベント。数億円の売上と引き換えにしてでも、会社が伝えたかったことは、理念だった。お客様に対して、仲間に対して、私たちは何を一番大切にして働くのか。壇上で一つずつ丁寧に伝えようとする梅原社長の姿に、自分を含めた従業員みんなが、心を動かされた。翌日、店に青果のトラックが届くと、全部門からあっという間に人が集まった。「ありがとう!」という声が飛び交うスーパーへの大きな転換点を経験できたことは、自分の財産だ。

「主任」も「店長」も他のスーパーとは全く違う

主任になって驚いたことは、裁量権の大きさ。普通のスーパーでは、店舗の精肉部門が独自に仕入れをすることは、ほぼ無い。届いた肉を切って並べるという「作業」が現場の仕事。でも佐竹での主任の仕事は全然違う。求められるのは、「作業」ではなく「商売」。どんなお客様にどんな風に喜んでほしいのか、想いを持って仕入れる。想いがあるから、お客様に食べてみて欲しくて、売り場でも自然と声が出る。お客様にご満足頂けたかどうか、フィードバックがほしくて、「どうでしたか?」とまた声をかける。どの売り場でも、お客様と従業員の会話が多いのは、必然だ。大きな裁量権のもと、想いを持って仕入れるからこそ、にぎやかで楽しい売り場が生まれる。主任時代、お肉の試食で「お客様が食べてみたいお肉、なんでもどうぞ」というイベントをやったことがある。普通、お肉の試食というのは「売りたいもの」の宣伝。試食の発想を変えて、まさに「試しに食べてみてください!」というイベントにしてみた。お客様が本当に喜んでくれて、たくさんのファンができた。こんなイベントを主任の判断でできるスーパーは、なかなかない。

店長になる時に驚いたことは、教育の充実ぶり。精肉という分野への専門性は磨いてきたつもりだったけれど、人を動かすという意味では、店長になるにあたり不安があった。リーダーシップやマネジメントやコンシェルジュという店長の仕事を研修で学び、関連する本を読み漁って勉強をした。店舗に波風が立たないように収めることが店長の仕事ではなく、店に高い基準値をつくり、メンバーの力を引き出し、店・会社へのエンゲージメントを高め、一丸となって目標に向かう。店で働く一人ひとりが、「働くことが楽しい」「商売って面白い」と思えるようにすることが、店長の仕事だと学んだ。

「作業員」ではなくて、お客様想いの「商売人」に

今自分は、satakeの精肉部門の部長代理という役割を担っている。satake全店の精肉部門において、「肉好きをうならせる」という部門の志を実現するため、各店の主任・スタッフをサポートする役割だ。食肉文化の歴史は、鮮魚や青果に比べると、実はまだまだ浅い。一般的にお肉を食べるようになったのは、明治時代になってから。どんな部位を、どんな風に切って、どんな風に食べるのか、まだまだ研究できるし、挑戦できる。もちろん大切にしなければいけない基本はあるけれど、従来のやり方に固執していては、進化しない。「この部位、普通ならステーキにしますけど、すき焼きにしたら柔らかくて、量もとれて、お客様に喜んでもらえると思うんですけど、後藤さんどう思われます?」。こんな質問が新卒の若手から来ると、ワクワクしてしまう。「ええやん、ええやん、やったらええやん!」。

佐竹で働く人には、決して作業員になってほしくない。商売人になってほしい。お客様を想い、創意工夫をし、仕事を楽しむのが商売人。お客様を裏切るようなことは決してしてはいけないけれど、お客様に喜んでもらいたという想いがあるなら、時に失敗してもいい。「やってみてだめだったら、また戻ってやり直したらいいやん」と、梅原社長がよく言う。そうやって育ててきてもらったから、自分もそうやって若い人に伝えていきたい。是非、一緒に挑戦しましょう。お客様を想う商売は、本当に楽しい。一人ひとりがそんな商売人になることが、きっと「日本一楽しいスーパー」への道だと信じて、僕も挑戦を続けます。

2022年2月取材時点

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